子どもは自由に、大人はゆったり「佐倉こそだちフェス」更新日:2022年07月13日

 毎月第3日曜日に佐倉城大手門広場で、親子をメインターゲットとしたイベントを開催する「佐倉こそだちフェス」。
 多様な出店者や佐倉にゆかりを持つ協力者の参画により、遊び・食・文化など飽きさせないコンテンツを提供し、市内外の多くの親子が参加するイベントとして評判が高まっています。
 佐倉こそだちフェス実行委員会 代表 真鍋弥生氏に、子育てを通したまちづくりへの想いをインタビューしました。

佐倉市内外からリピーターが来ます

――参加者がとても多いですね!どのような方が来場しているのですか?

 親子も多いですが、シニア層が散策のついでにお茶やランチに立ち寄ったり、お孫さんを連れてくることもあります。いまの子育て世代は年齢が幅広いですから、老若男女いずれの層もいます。
 また、高校生・大学生くらいの方が遊びに来るうちに自然と小さな子たちと触れ合い、プレーワーカーとして参加してくれるようにもなりました。周辺の小学生・中学生・高校生が、イベントのない日もここで遊ぶ光景を見かけるようになりました。

――佐倉市外から参加している人もいるのですか?

 多いですよ。佐倉市周辺のすべての自治体から参加があり、東京からも来ます。『桜に染まるまち、佐倉』など他のイベントや佐倉観光がきっかけになったり、佐倉に農業体験に来た方、佐倉こそだちフェスのプレーパークを視察に来た方などが、そのままリピーターになることもあります。

――佐倉こそだちフェスのコンセプトを教えてください。

 「子どもはのびのび思いっきり遊び/大人はコーヒー飲んだり本読んだり/ゆったりした時間を過ごしながら/子どもたちを見守る。」です。
 コロナウイルスが蔓延し、赤ちゃんを預けるのが難しい。大きい子は遊ぶ場がなく、友達とおしゃべりもできないマスク生活。保護者だって、子どもをちゃんと面倒みなきゃいけないというプレッシャーに悩むことが増えました。
 でも、この場所では子どもは自由に遊び、保護者も本を読んだりコーヒー飲んだりゆったり過ごす。大人が心地よく過ごしていると、子どもの発達にもいい影響があります。大人が「手放す」ことで、子どもの興味や創造性がありのままに発揮され、本当の意味でその子自身の「遊ぶ」「育つ」姿があらわれます。
 ここでは会場全体の大人が、自分の子もひとの子も分け隔てなく、見守っています。

毎月開催で遊び場が定着する

――佐倉こそだちフェスを始めたきっかけを教えてください。

 2021年11月に社会実験として開催された「さくまちDays」に、声をかけてもらったのがきっかけです。
 「さくまちDays」では、プレーパークを運営する団体や有機農家、子ども食堂、市内事業者など、佐倉市内で子育てを推進する団体がたくさん協力してくれました。
 開催前から、こんな有意義なイベントを年に1回でも開催できたらいいねと、何人かで話していたんですね。しかし、開催してみると想像以上の大盛況で、出店者や来場者、市職員さんと話しているうちに、話はどんどん膨らみ、開催周期も年1回が月1回に変わり、ついに、始めるしかないなら自分がやるか!と心を決めました。

――運営の中心を引き受けることにしたのですね。毎月開催だと大変ではないですか?

 毎月の運営準備の大半を自分が担いますので、大変ではありますね。費用面も手弁当なので、お店の出店料を仮設トイレ費用に充てるなど努力しています。
 それでも、毎月開催する良さがあります。昔に比べ、学校の周りに遊び場がなくなってきているでしょう? ここなら、子どもの遊び場があり、ゆるく見守ってくれる大人がいます。毎月のイベントで具現化すると、地域の方々にこの風景が定着します。遊び場だと定着すれば、イベントを開催しなくても、大人も子どももこの場所に集うようになりますよね。それに、毎月開催するごとに、イベントの運営準備に協力・参画する地域の方も増えてきています。
 年間を通して毎月開催すれば、雨の日にはタープに溜まった水の面白さを、冬には寒いなりに野外で遊ぶ楽しさを、発想豊かに、且つ、継続的に実現できます。
 佐倉城大手門広場は最高の立地ですよ! 視界が開けているから、子どもは好きに走り回り、大人はゆったりと子どもの姿を見守れるのです。

マッチングの場

――遊び・食・文化など多様な団体や事業者が参加していますね。

 市内で以前から精力的に活動されている方々や団体が多いです。コロナの影響で自主イベントはやりづらいし、お客さんも来づらい。でも、子どもに有意義なイベントを続けたいという思いで、喜んで集まってくれています。
 子育て中は手が回らない。だからこそ、自分の子の成長後に、地域や子どもたちのために活動したい意欲盛んな方がたくさんいます。
 けれど、世代が異なる開催者側と参加者側では、SNSなど情報媒体が同一でなく、往々にして優れた事業の開催が伝わっていない。つながりたくてもマッチングできない。ここは、そんな両者をつなぐ場でもありたいと考えています。

――協力団体や出店者は、若い方からシニア層まで幅広いですね。

 出店しながら、お子さん達をイベント内で遊ばせている事業者さんもいます。出店者としても、ここに連れてくれば、安心な食材で作られたごはんが手に入りますから、朝、お出かけ用の食事を準備しなくてもいい。子ども連れでも、親が自分一人でも、ここでは出店できます。普段は事業をやっていない方が出店にチャレンジしてもいいのです。
 また、出店者や協力団体、お客さんがつながる場にもなっています。農家さんと子ども食堂や飲食店がつながることで余剰作物を融通したり、新たな販路開拓につながったり、参加団体同士で組んで体験農園やワークショップを開催したり、このイベントを超えて活動が広がっています。

子育てのポテンシャルが高いまち

――佐倉のどんなところがお気に入りですか?

 私は船橋市出身で八千代市在住ですが、佐倉市は広々としていますね。これは土地だけではなくて、マインドも「やってみよう!できる!」と前向きな人が多いです。そこが好きです。
 佐倉は、子どもが育つのに必要と言われる「3間」(時間・空間・仲間)のうち、空間と仲間がすでに揃っていると感じています。あとは時間が揃えばいい。例えば、子どもの放課後に遊ぶ時間を確保してあげる。そして、大人にも遊ぶ時間があるといいですね。

――佐倉をもっと魅力的な場所にするために、必要なものは何でしょうか?

 佐倉は人同士もつながっていて、行政と民間も協力体制ができており、行政が市民のいいところを引き上げてくれていると思います。
 けれど、「もう一声」を期待しています。行政が全てやらなくてもいいから、民間のつながりを把握して、行政が好意的にバックアップしてほしい。子育てに関する佐倉市内の市民活動のつながりには高いポテンシャルがありますから、市がPRすることで移住定住につながると思います。
 将来的には、佐倉市内の学区ごとにプレーパークができるのが理想です。

参加者にもインタビュー!

――常連の金子さん親子(佐倉市内在住)にお尋ねしました。佐倉こそだちフェスのおもしろさはなんですか?

 何もないだだっ広い場所で、子どもたちが自由に遊んでいるところです。いろんな遊びを教えてくれる大人もいますし、放っておくと日暮れまで遊んでいます。
 広場のあちこちに木製のドラムが無造作に転がっていますが、子どもがごろごろ転がして遊んでいる光景が好きです。

――大人の出店が並ぶなか、娘さんもお店を出しているのですか?

 娘とその友人で、近所で摘んだドクダミを使って、虫よけや化粧水になるドクダミチンキをつくるワークショップを出店しています。娘の友人がこそだちフェスで「子ども店長」として出店すると聞き、娘もいっしょにお店をやろうということになりました。
 娘は絵が得意なので、瓶に貼るラベルシールの絵を何十パターンもデザインしました。娘の友人は、おこづかいの中から瓶や材料を仕入れ、子ども向け出店料を支払い、利益率を計算して価格を決めてくれました。一見、子どもにシビアなようですが、小さいうちから社会勉強ができる場があるのはうれしいですね。
 ここは、子どもたちがそれぞれの特技や好きなことを持ち寄り、「自分でできる場」ですよ。

【佐倉こそだちフェスに関するお問合わせ】
◆佐倉こそだちフェス実行委員会
◆Facebook https://www.facebook.com/kosodachifes/

<イベント>

◆佐倉こそだちフェス

日時:毎月第3日曜日10~15時
会場:佐倉城大手門広場(千葉県佐倉市城内町277-9)
https://www.facebook.com/kosodachifes/
◆次回開催:2022年7月17日(日) 9~13時 (熱中症対策のため開催時間を早めています)

◆「あそびのレンズ」上映会&1DAYプレーパーク

日時:2022年7月18日(月・祝)
●上映会:志津コミュニティセンター(1)10時(2)13時(3)15時10分
● 1DAYプレーパーク:ユーカリが丘南公園 13~17時
ホームページ https://www.city.sakura.lg.jp/kids/5/2/15726.html