地域と企業の共生・発展を佐倉から!山一電機株式会社社長、亀谷淳一氏にインタビュー更新日:2024年06月06日

 社長の亀谷さんは、入社から18年間佐倉事業所に勤務し仕事の基礎を学び、本社、海外勤務等を経て今日に至ります。また、山一電機佐倉事業所では、最先端技術を駆使した魅力的な事業活動が展開されており、その取り組みや佐倉の魅力について亀谷社長にインタビュー。

――1986年に佐倉に進出された経緯について教えてください。

 私が入社する前のことですが、都心や国際空港に近く当時のサプライチェーン(注1)からみて利便性が高いことから決められたのだと思います。
 当社は1985年から1995年にかけて、米国、韓国、シンガポール、ドイツ、香港、中国、フィリピンに進出し、1987年には米国大手メーカーに「半導体検査用ソケット」が採用され、これが海外事業展開の大きなはずみとなりました。その中で佐倉事業所は生産拠点のマザーファクトリー(注2)として、重要な役割を担っています。
 (注1)サプライチェーンとは、原料調達、製造、在庫管理、物流、販売など消費者の手元へ届くまでの流れを鎖に見立てたこと。
 (注2)マザーファクトリーとは、いくつかの工場の中で中心的な役割を果たす工場のこと。

――佐倉で、世界シェアトップクラスの製品を製造しているそうですが、どのような製品ですか。 

 現在、半導体はあらゆる電子機器、例えば「スマートフォン」や「パソコン」から「自動車」まで多くの製品に搭載されています。半導体が正常に作動するかどうかは製品の品質に直結するため、デバイスの検査の重要性が増しています。その半導体の品質を支える重要な検査工程に使用される「半導体検査用ソケット」を佐倉事業所で生産しています。 

――佐倉に工場(佐倉第二棟)を増設(2024年2月)されましたが、どのような位置付けですか。

 自動車のEV化や自動運転、IoT、AIなど様々な技術革新によって、これから大きく伸びる半導体や電子部品の世界的な需要増に対応するためです。当社の主力である半導体ソケットやコネクタ製品のものづくりを支える技術開発や生産設備開発、そして超精密部品の製造や海外製造拠点への技術指導など、佐倉事業所は非常に重要な位置付けです。
 佐倉事業所に加えて、フィリピンにも二つの工場が稼働しており、4月に新たに第3工場が完成しました。これにより、より一層の生産能力の向上を目指しています。
 また、フィリピンの工場からは毎年約10名が佐倉で技能研修を受けており、佐倉事業所は技術と知識の育成拠点としての役割も果たしています。

半導体検査用ソケット(一例)

――佐倉市とは防災協定を締結されていますね。また環境配慮型工場としてCO₂削減に取り組まれていますが、どんな取り組みですか。 

 2019年の房総半島台風により、3日間の停電で工場の稼働が停止しました。これをきっかけに、BCPの一環として、太陽光発電と蓄電池を導入しました。
 佐倉市との防災協定により、当社は太陽光発電および蓄電池を活用し、災害時に避難所として開放します。この際、近隣住民の方々には水、電力、トイレなどのライフラインを提供いたします。また、自家発電により、年間約350トンのCO₂排出削減を実現しています。さらに2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。 
 (注)BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。

太陽光パネル配置前の新工場(第2棟)、2024年2月落成

――佐倉で好きな場所や、よく行かれるところはありますか。

 佐倉というと歴史を感じる町だと思います。国立の「歴博」もあります。武家屋敷や蔵などが残っており「ひよどり坂」も雰囲気があります。また、「佐倉城址公園」の桜や、「佐倉ふるさと広場」の春のチューリップ、夏のひまわり、秋のコスモスと四季折々の花を楽しめて、季節を感じるところが多くあり、子どもが小さいときは家族でよく行きました。「佐倉ラベンダーランド」は知る人ぞ知るところではないでしょうか。

――これから社会に出られる方、社会に出たばかりの方など若者たちへのエールをお願いします。また、佐倉市に期待することはありますか。

 若い皆さんには、好奇心を持ってグローバルに活躍できる世界に飛び込んでほしいと思います。佐倉市には、若い皆さんが仕事に注力できるよう、生活基盤のさらなる充実をお願いしたいと思います。特に子育て世代に対しては、子育てしやすい環境づくりと教育の充実に力を入れていただき、魅力的な地域づくりをお願いしたいと思います。魅力的な企業づくりと魅力的な地域づくりを通じて、今後も企業と地域がともに発展し、好循環を生み出せればと思います。

佐倉事業所で佐倉の魅力を語る亀谷社長