本でまちをおもしろくする!地域に根差した活動に取り組む日野店長にインタビュー更新日:2022年01月07日
ときわ書房志津ステーションビル店の日野剛広店長にインタビュー!
書店の店長として勤務する一方、「本気(マジ)BOOKフェス」の実行委員を務めるなど、本で地域を盛り上げるイベントに関わる日野店長。
本の魅力を地域の方々に発信する店長に、これまでの活動から佐倉市の魅力まで伺いました!
地域の方に本の魅力を伝えたい!
――これまで本のイベントに携わってきたそうですね。
はい。「本気(マジ)BOOKフェス」という本の魅力を伝えるイベントに、地域の図書館職員の方々に声をかけてもらい実行委員として関わりました。フェス自体は、これまで2回開催してきました。
2回目のフェスでは、複数の出版社が本のブースを出したり、飲食のキッチンカーも出店したりするなど、お祭りや縁日さながらでしたね。
★「本気(マジ)BOOKフェス」
佐倉市志津という地域を舞台に、さまざまな切り口から本の魅力を実感、再発見する本を通した地域交流イベント。2018年、2019年の2回開催。
2019年は、地元の書店と図書館に加えて、18の出版社がタッグを組み、「本気(マジ)BOOKフェス2019~本を読む、ゆったりした時間」というテーマで実施。
ヨガや糸つむぎワークショップ、ビブリオバトル、読書に合う演奏会など本の魅力を存分に味わうことができるイベントとなった。
以前、「ウツノミヤブックライツ」というブックマーケットに参加したときに、同様のイベントを「(佐倉市の)志津でもやりましょう」と出版社の方から言われたことがあります。
もともと自分の中でも、こういうイベントが地元でできたら面白いなという気持ちもあったので、2回目のフェス開催にあたって、私から出版社を呼ぶことを提案しました。
フェスに出店した出版社の方からは、お子さんが多い会場に驚く声や、盛り上がって良かったとの声が聞かれました。
お客様である地元の方にも、こういった本を中心とした文化があるんだと認識してもらうことができ、開催して良かったと思います。
――店頭では、佐倉市が舞台の小説や地元を扱った書籍の特集を行っていますね。
そうですね。ありがたいことに、宮武孝吉さんの『歩いてみよう志津』(大空社出版)や、はらだみずきさん(※)の『やがて訪れる春のために』(新潮社)といった、佐倉市周辺を舞台とする本には恵まれています。そうした本は、地域の方にも興味がありますよね。
特集に使うポップやキャプションも、あまり器用ではありませんが手作りしています。
ほかにも書店のある地・志津にちなんで、「志津ノーベル賞」という賞を作り、受賞作品を決めたりもしました。こうした活動をするなかで、私自身は船橋市に住んでいますが、佐倉市への愛着が生まれました。
(※)「豊かな自然に囲まれながら、心に響くストーリーを紡ぎだす ~小説家・はらだみずき さんインタビュー」(2020年11月掲載)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の解説
――店長は、ブレイディみかこ氏による『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)の文庫版に解説を寄せていますね。
はい。突然、出版元の新潮社の方から電話があって解説を書いて欲しいと。とてもびっくりしましたね!
解説にも書きましたが、佐倉市内の中学生がハードカバー版の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の読書感想文を私にもってきてくれたんです。それがとても素晴らしい内容だったんですよ。ぜひブレイディみかこさんに読んでもらいたいと思い、編集者を通じて著者に届けました。
また、これまで、ブレイディみかこさんの著作をツイッターやウェブサイトで発信し、それを契機に地域のお客様にお買い求めいただいたことも関係しているかもしれません。地元のお客様とともに、店頭でブレイディみかこさんを応援したことが届き、指名いただいたのだと思います。
おもしろい人が集まる場所
――店長にとって佐倉市というまちの魅力は?
佐倉市には、文化的な好奇心、意欲をもった方が多いと思います。
自分が能動的に動き始めて、初めて知ることができたんですが、書店がある志津エリアには、自分で思いついたことを実行しよう、形にしようという人がすごく集まっているんです。
カレー屋さん、ケーキ屋さん、駄菓子屋さん、ふわいえを主宰する岡島由夏さん(※)などなど、とにかく人がおもしろい。これまでの私の勤務地では考えられなかったことです。
そうした人たちを惹きつける何かが志津にはあるのかな。可能性があるエリアだと思います。
(※)「『好き』を見つけたい女性を応援したい!~ハンドメイド作家・岡島由夏さんインタビュー」(2021年5月掲載)
【プロフィール】
有限会社ときわ書房 志津ステーションビル店 店長
2013年から本店舗に勤務。
実行委員として、地元図書館等と本を活用したイベント「本気(マジ)BOOKフェス」を2018年、2019年に開催。
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)の文庫版解説を執筆。