東京オリンピックで金メダルを目指す! トライアスロン・佐藤優香選手インタビュー更新日:2018年11月16日

2010年のシンガポール・ユースオリンピックで金メダルを獲得。リオデジャネイロ・オリンピックでは日本勢最高順位の15位になった、トライアスロン・佐藤優香選手。2020年東京オリンピックでの活躍が期待される佐藤選手に、トライアスロンとの出会い、佐倉市で過ごした思い出についてお話を伺いました。

―トライアスロンを始めたきっかけは。

9歳のとき、初めて出場したトライアスロンの大会で優勝したのがきっかけです。母が、千葉県成田市でトライアスロンの大会が開催されると知り「出てみたら」と勧めてきたんです。

3歳のころから、2つ上の兄と一緒にスイミングスクールに通っていたので泳ぎには自信がありました。ランも、佐倉市の岩名運動公園をしょっちゅう走っていたくらい好きだった。トライアスロンには過酷なイメージがあるかもしれませんが、私にとっては「あとは自転車を漕ぐだけ」という、ハードルの低いものだったんです。軽い気持ちで挑戦したら結果が出て、1カ月後に出場した全国大会でも優勝。そこから、自転車(バイク)も本格的に練習するようになりました。

―トライアスロンのどんなところに面白さを感じましたか。

小中学生のころは、あまり楽しいとは思っていなかったかな。母の方がのめり込んでいた気がします(笑)。当時の練習は3種目通したものではありませんでした。バイクは土日に兄と佐倉市内を走り回り、ランニングは小学校の部活で走り込む。水泳はスイミングスクールの選手コースで練習するといった具合。3種目やる大変さはありましたが、調子の波があっても一つの種目が他をカバーできるところが、トライアスロンの面白さであり、続けやすいところだと思います。

―トライアスロン選手としてやっていく、と決めたのはいつでしたか。

中学時代は、トライアスロン選手の道に進むのか、競泳でいくのか、マラソンでいくのか、進路が定まっていませんでした。転機は、中学3年生の夏に参加した、千葉県内の進学相談イベント「首都圏進学フェア」。そこで「あなたがやっているスポーツを全力で応援します」と支援していただける学校(日本橋女学館高等学校)に出会い、進学を決意。「この学校に行くなら、トライアスロンをまたイチから頑張ろう」と、競技を絞る覚悟ができました。

―選手として、ターニングポイントとなった出来事は何でしたか。

2010年のユースオリンピックで金メダルを獲り、トライアスロンの道に進んでよかったと心から思いました。それまではオリンピックに「出場すること」が目標でしたが、ユースで結果を出せたことで、「メダルを獲らなくては意味がない」と意識が高まっていった。リオデジャネイロ・オリンピックへの挑戦もそこから始まりました。

リオで初めて経験したオリンピックの舞台は、すべてがキラキラと透き通って見えて、すばらしいものでした。こんな場所に立てているんだとわくわくして、レースも楽しくて仕方なかった。国内外の選手権や大会とは別格のステージだと実感しました。

8位入賞という目標を達成できなかった悔しさもあり、東京オリンピックではまた絶対にこの舞台に立たなくちゃいけない、また4年間自分を鍛えていこうと気持ちが引き締まりました。リオへの挑戦が終わった瞬間が、次の始まりでしたね。

―自分を変えた環境や人との出会い、受けた影響について教えてください。

飯島健二郎監督と出会っていなければ、トライアスロンとこんなに向き合えなかったと思います。高校卒業後に監督率いるチームケンズに所属したことで、オリンピックの舞台でメダルを獲る、という目標も明確に持てるようになりました。

監督は、「優香がどう強くなれるかを日々考えている」と、食生活から練習メニューまでを考え抜いていただき、私は監督が示す強化策を実践することだけに集中できています。身体の傾向や強み弱みを客観的に分析して、最適なアプローチを考えていただける。この環境に自分がいられることは、とても恵まれています。

―佐倉市で育ったことで、今につながっていることは何ですか。

岩名運動公園という、練習に最適な環境に恵まれたことで、ラン・バイクはかなり鍛えられました。また、岩名運動公園内の陸上競技場では、小出義雄監督が代表を務める「佐倉アスリート倶楽部」がいつも練習をしていて、その様子をすぐに見に行けました。高橋尚子選手が練習に顔を出していることもあり、世界のトップアスリートを身近で見られた。憧れの選手を前にして、私も練習を頑張ろうと刺激を受けていたと思います。

久しぶりに帰省すると地元の友達が「おかえり」と歓迎してくれて、佐倉の人のあたたかさにはほっとします。小さい頃から練習する姿を応援してくれていた友人たちなので、私の活躍を自分のことのように喜んでくれる。そのあたたかい気持ちにも支えられています。

―今後の目標を教えてください。

まずは来シーズンの選考レースでしっかりと結果を出し、東京オリンピック出場権を獲得すること。そして、東京2020で金メダルを獲ることです。自分の夢を叶えたあとも、長くトライアスロンに携わり、佐倉市はもちろん、国内外に向けてトライアスロンの魅力を発信できるような存在になりたいと思っています。

その目標のためには、最後のランで勝負できるためのスタミナ強化、東京オリンピックで脅威になる暑熱対策などやるべきことがたくさんあります。もちろん、ランで勝負をかけるためには、スイムで先頭集団に入っていき、バイクで先行逃げ切りの展開に入らなくてはいけない。トライアスロンは奥深くて難しいスポーツだなと思いながら日々練習しています。

私の周りには、支援してくれる人が本当にたくさんいて、思うような成績が残せなかったときも「大丈夫。次はうまくいくから」と背中を押してくれます。周りの存在が自分を強くしている。だからこそ、自分が掲げた目標は、みんなが一緒になって追いかける目標です。1日1日、練習も生活面も、ブレない覚悟で過ごしていきたいと思っています。

【佐藤優香選手 プロフィール】
1992年生まれ。千葉県佐倉市出身。トーシンパートナーズ、NTT東日本・NTT西日本、チームケンズ所属。9歳で初出場したトライアスロン大会で優勝し、全国大会でも優勝。高校から本格的にトライアスロンに取り組み、2010年のシンガポール・ユースオリンピックで金メダルを獲得。2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは日本勢最高の15位。現在は、山梨を拠点に活動するチームケンズで練習に取り組んでいる。