美術鑑賞だけじゃない! 佐倉市立美術館を楽しみ尽くす方法更新日:2020年01月08日

佐倉の中心地。成田街道沿いにレトロな建物があります。こちらは、旧川崎銀行佐倉支店という建物。1918年(大正7年)に川崎銀行(現・三菱UFJ銀行)の佐倉支店として建てられ、佐倉町役場、中央公民館、市立図書館などを経て、1994年(平成6年)に佐倉市立美術館の開館とともにエントランスホールとして利用されることになりました。美術館というと「ちょっと難しそう」という印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、ココは気軽に入れる美術館。作品の展示やワークショップだけではない、楽しみ方がいろいろ。市民の憩いの場として愛されている美術館を少しだけ探検してみましょう。

カタツムリに見える? 伝統と革新がコラボした街の憩いの場

JRの佐倉駅と京成本線の京成佐倉駅の間。旧城下町の中心部に位置するこちらの建物が、佐倉市立美術館。遠くから望むと、こんなフォルムをしています。左側を触覚、右側を巻き貝に見立ててみると……ホラ、ちょっとカタツムリみたいでしょ?

ここからは、佐倉市立美術館が大好きで鑑賞コミュニケーター「ミテ*ハナさん」として活動しているボランティアスタッフ・並木さんと一緒に、サクライク編集部ライターの田中が美術館を探索してみました。

ライター田中 「美術館に一歩入ると、落ち着いた雰囲気が素敵ですね。エントランスホールは2階建て(2階部分は吹き抜け)になっていて、開放感がありますね」

並木さん「そうですね。このエントランスは『街』という日常と、『美術館』という非日常をつなぐ役割をするように考えられたそうです。美術とかあまり興味がない方も、気軽に足を運んでほしいですね」


解放感のあるエントランスを抜け美術館のなかに入ると、高さ約18mにもなる階段の吹き抜けエリアに巨大なモニュメントが。

こちらは高橋秀さんの『空宙モヌメント 燦(さん)』という作品。5つの立方体の6つの面が、それぞれ独自に変化し、その瞬間に内部からフラッシュの閃光が見えるようになっています。ちなみにキューブの面は、赤、黒、白、緑、青に変化します。

ライター田中「タイミングによって作品の表情が変わるので、思わず見入ってしまいますね。階段を上って作品を観ると、1Fから鑑賞するのとはまた違った一面が見えてきそうな作品ですね」

椅子、椅子、椅子! デザイナーズチェアに座ってみよう

ライター田中「並木さん、館内を歩いていると珍しい椅子が多い気がするのですが…」

並木さん「あ、そう思いますか?佐倉市立美術館の特徴のひとつが、館内に置かれたデザイナーズチェアです。もちろんいずれも座ってOK。貴重なデザイナーズチェアを体験できますよ」

ライター田中「これは、色が鮮やかな椅子ですね。」

並木さん「こちらはオランダのヘーリット・トーマス・リートフェルトが手がけた『レッド・アンド・ブルー』です。ぜひ座ってみてください」

ライター田中「(座ってみて)意外と快適な座り心地ですね。パッと見た感じは、色の鮮やかさに目が止まって、座り心地に期待はそこまでしてなかったのですが、良い意味で裏切られました」

並木さん「この『レッド・アンド・ブルー』は1917〜1918年に発表されたのですが、現在でも高い人気を誇っているそうですよ」

ライター田中「そんな前に発表された作品なんですか!100年以上前のデザインと考えると感慨深いものがありますね」

ライター田中「こちらの椅子も、面白い形をしていますね」

並木さん「こちらもヘーリット・トーマス・リートフェルトによる椅子です。その形から『ジグ・ザグ』と呼ばれています」

ライター田中「(しばらく観察して)あれ?この椅子金具が見当たらない気がするのですが…」

並木さん「そうそう、不思議ですよね。この作品は、たった4枚の板で構成された究極の椅子という感じがします。組み継ぎという手法で板同士をつないで、さらに隅木(すみき)という部品で補強。ネジのような金具は一切使用していません。座ってみてください」

ライター田中「(座ってみて)思いのほか頑丈なつくりですね。『なんでつぶれないの?』と思うような形ですが、座る前と座った後だと、印象が変わりました」


ライター田中「並木さん、この椅子もユニークな形ですね」

並木さん「こちらは、デンマークのアルネ・ヤコブセンの『エッグ・チェア』。コペンハーゲンのホテルを設計する際に、デザインしたインテリアのひとつだそうです」

ライター田中「(座ってみて)体がすっぽりと包み込まれる感覚!!これは快適ですね。なかなか立ち上がれない(笑)」

並木さん「幸せな気分になりますよね!この椅子は『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』や『メン・イン・ブラック』といったハリウッド作品、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』にも登場した椅子なんです。この他にも、佐倉市立美術館にはデザイナーズチェアがたくさんあるので、美術館を訪れた際は、お気に入りのデザイナーズチェアを見つけてくださいね」

限定グッズや絶品スイーツも! 佐倉市立美術館を楽しみ尽くそう

館内のデザイナーズチェアを満喫して、訪れたのはちょっと変わったミュージアムショップ『古書くさかんむり』。

ライター田中「美術館の中に古本屋さんがあるのは、珍しいですね」

並木さん「そう!ミュージアムショップとしての古本屋さんって、ありそうでなかったですよね。『古書くさかんむり』では、企画展の図録だけではなく、展覧会に合わせた古書のラインナップも充実しています。展覧会で出会った世界をより深く味わえる一冊にも出会えるかもしれませんよ」

ライター田中「あ、佐倉市立美術館のオリジナルグッズもありますよね」

並木さん「スケッチブックや一筆箋、色鉛筆、マスキングテープなど、可愛らしいデザインと優しい色合いが特徴なんですよ。このカタツムリ、何か見覚えはありませんか?」

ライター田中「カタツムリ…あ!佐倉市立美術館の外観ですね」

並木さん「そうそう。この他にも、様々な商品を取り扱っていますので、美術館にお越しの際は立ち寄ってみてくださいね」


美術館探索の最後に訪れたのは、1Fに併設されているCafe Buona Giornata(カフェ・ブォナ・ジョルナータ)。

ライター田中「展示や買い物を楽しんだ後に、カフェでブレイクできるのはありがたい。コーヒーだけじゃなく食事も楽しめるのは嬉しいですね」

並木さん「このカフェを目当てで訪れる常連の市民のみなさんも多いんですよ。もちろん椅子はデザイナーズチェア。こちらはアルネ・ヤコブセンの『ダイニング・チェア』です」

ライター田中「ここにもデザイナーズチェアが!自然光が差し込む心地よい空間なので、思わず長居してしまいそうですね」

ライター田中「ちなみに、並木さんのオススメのメニューはなんですか」

並木さん「メディアでも取り上げられたのが『地たまごプリン』。市内養鶏場の卵を使用した濃厚な味わいが、コーヒーとの相性抜群ですよ」

早速、並木さんオススメの『地たまごプリン』をいただいてみると、黄身の濃厚でコクのある味わいが美味しいプリンでした。佐倉市立美術館を訪れた際は、美術鑑賞の後にCafe Buona Giornataを訪れてみてはいかがでしょうか。


さて、駆け足ではありますが、展示室以外の佐倉市立美術館の楽しみ方をご紹介いたしました。美術に興味がなくても、休憩や気分転換、食事での来館も大歓迎。冬になって空気が澄めば、4階から遠くに牛久大仏が見えることもあるそうですよ。気軽に美術館に立ち寄ってみると、気がついたら美術にも親しみがわいてくるかもしれませんよ。

最後に、一緒に美術館を探索してくれた並木さんから一言いただきました。

並木さん「今回は佐倉市立美術館が大好きなボランティアとして、特別に美術館ツアーを行いました。通常行っているのは、毎月第4日曜日の対話型鑑賞会「ミテ・ハナソウ・カイ」。皆さんから作品に対する意見や感想などのいろんな言葉を聞き出すスタイルの鑑賞会です。子どもも大人もいっしょに作品を見ておしゃべりする、子どもが普通に芸術にふれて育つことができる環境がつくれたらいいなと思います。まずは一度、足を運んでみてくださいね。みなさんにお会いできるのを楽しみにしています」

佐倉市立美術館は、美術鑑賞だけではなく楽しみつくせる素敵な場所でした。

【佐倉市立美術館】
〒285-0025 千葉県佐倉市新町210番地
TEL 043-485-7851 FAX 043-485-9892
http://www.city.sakura.lg.jp/sakura/museum/