佐倉から世界へ!自主性を養う「ACミランサッカースクール千葉佐倉」に潜入!更新日:2018年06月29日

イタリア・セリエAの名門「ACミラン」の教育方針に基づいたサッカースクールが佐倉市にあるって知っていましたか? 学校のサッカー部や他のサッカースクールと何が違うのか、イタリアから佐倉で常駐して子供たちに指導を行うテクニカルディレクターのルカ・モネーゼさんにその魅力を伺いました。

サッカーの技術だけではなく、「自分で考え決断して行動する」力を養う

Q 「ACミランスクール千葉佐倉校」ってどんなところ?

「ACミランスクール」は、イタリア・ミラノを拠点とする強豪クラブ「ACミラン」の教育方針に基づいたサッカースクール。千葉佐倉校は2014年6月に開校しました。
私は、ACキエーヴォ・ヴェローナ、エーラス・ヴェローナFC、ACミランアカデミー部門、ACミランスクール大分での指導を経て、千葉佐倉校のテクニカルディレクターとして常駐。「ACミランスクール」は、国内ではほかに愛知、東京にもあり、「ACミランアカデミー」で指導経験を積んだテクニカルディレクターが必ず常駐し、現地のアカデミーと同じフィロソフィーの元で行われるのが特徴です。

千葉佐倉校では、未就学児から中学3年生まで約330人の子どもたちが5つのカテゴリーにわかれ、レベルに応じた選手同士でグループが編成されています。セレクションによって編成された中学生チーム(ジュニアユース)があるのが千葉佐倉校の特徴で、将来海外で活躍できる選手育成を目的に活動しています。
どのレベルにおいても、大切にしているのは子どもたちの自主性。「自分で考え決断して行動する」力を養うために、常にポジティブな声がけを行い、プレー中の発想や判断をほめます。失敗しても「ここを工夫して、もう一度やってみよう」と背中を押すようなコミュニケーションを欠かしません。話すときは必ず相手の目線に合わせて(小さな子どもであれば膝をついて)話すといった行動一つひとつも、全コーチ・スタッフ間で徹底しています。子どもが考えたこと、それによって生まれた発想や行動をこちらがリスペクトすることで、信頼関係を築いているのです。

変化に柔軟に対応する力を養うために1週間ごとに練習メニューを変えるのも、当校の特徴です。メニューが変わることで、子どもたちは「今日はどんな練習をするんだろう」と常に新鮮な気持ちでグラウンドに来ることができます。そして、先週とは違う練習中の景色、動きに自分をどう対応させていくかを考え、自由な発想で状況を判断していく。その積み重ねが、サッカー選手として、さらに人間としての見識を広げていくことにつながるのです。

Q なぜ佐倉市なの?

「ACミランスクール」開校にあたっては、グラウンドの広さや芝など厳しい条件が求められています。その条件にぴったりと合った場所(グラウンド)が佐倉市にあり、成田空港と東京を結ぶ導線上にあるという立地も好都合だったからです。
さらに、佐倉市が「ACミランスクール」の考え方を理解し、応援してくださったことが、開校の決め手となりました。
実際に住んでみると、自然がとても豊かで、子どもたちが元気に遊んでいる光景にほっとします。ランニングをしているときの空の広さ、空気の気持ちよさもとても好きですね。

Q どんな子どもが通っているの?

佐倉市に住んでいる子が大半を占めています。

「ACミランアカデミーのテクニカルディレクターが教えてくれる」ということで、高い技術の習得を期待される親御さんがいらっしゃいますが、実際に入会し練習を見るようになると、技術レベルの高さに加え、「自立性を養う」という教育的な部分に非常に共感していただけます。親御さん向けに「ACミランスクール」が大事にしている指導哲学をお話する機会も設けており、ご家庭でのお子さんへのお声がけに関してもアドバイスしています。親御さんが、ポジティブな言葉でお子さんの意見を肯定することが、グラウンドでの自由な発想につながるからです。

日本の子どもたちは、自分の身体をコントロールする力など、フィジカル面で非常に優れた能力を持った子が多くいると感じています。ただ、残念なのは、小学校、中学校と進んでいくにつれて「先生や大人に言われたことを正しくやる」「周りに迷惑がかかるからと失敗を恐れる」といった点が強くなりすぎて、もともと持っていたフィジカルの良さも消されてしまうことです。「失敗してもいいんだよ、そこから次の行動が生まれるんだから」と言い続けることが、当校の役割の一つだと思っています。

Q 今後の展開とは?

目標は「佐倉から世界へ」。まずは、U -18(ユース)チームを作ること。また同時に日本全国でスカウティングを行いながら、有望な選手をミラン本部と協力して発掘していき、海外で活躍できる道を具体的に作っていきたいです。ただ、現在はグラウンドの確保が難しいという現実的な問題があり、佐倉市を始めさまざまな団体への協力申請なども積極的に進めています。

また、大きく描いているのは、サッカーを通した佐倉の街づくりです。例えばオランダでは、人口15万人前後の小さな街にもサッカーチームがあり、活動拠点の周りにスーパーや病院、保育園や老人ホームといった施設が並び、人々の生活とサッカーがとても近いところにあります。佐倉でそれを実現するのには時間がかかるかもしれませんが、「買い物ついでに、保育園の送り迎えついでにグラウンドで練習している様子を見る」といった世界が作れたら、街はもっと活性していくのではないかと考えています。

ACミランサッカースクール佐倉校