世界の舞台で闘う!!バイクレーサー松山拓磨選手インタビュー更新日:2020年10月12日

ヨーロッパで行われているバイクレース「Moto3世界ジュニア選手権」に参戦している松山拓磨(まつやま たくま)選手は佐倉市在住の15歳。 小さな頃からポケバイを始めた松山選手は数々のレースで活躍。12歳でロードレースデビューし、2019年にはアジア各地を転戦する「アジアタレントカップ」で総合2位の成績を収めました。そして今年からレースの本場ヨーロッパのレースに挑戦しています。これから世界を舞台に活躍が期待される松山選手に話を聞きました。

―バイクを始めたきっかけを教えてください。

3歳のときからポケバイを始めました。千葉北にあるコースで初めてポケバイに乗ったのがきっかけで、父が僕にポケバイをやらせたいと思ったそうです。自分ではその時の事は覚えていませんが、とても喜んでいたそうです。それからずっとポケバイを続け、ロードレースデビューしたのは12歳のときです。

―いつ頃本格的にバイクの道に進もうと考えたのですか?

小学3年生の時にツインリンクもてぎで行われた、世界最高峰のロードレース「MotoGP」を見に行きました。レースにとても感動して「自分もここで走りたい!」と強く思いました。レースで勝ちたい!と本格的に思うようになったのもこの頃からです。

―バイクレースのどんなところが魅力ですか?

やっぱりレースバトルが一番魅力だと思います。転倒するギリギリの角度まで傾きながら時速100km以上のスピードでコーナリングしたり、他のレーサーと攻め合いながら抜き合うのはスリルと迫力があってすごく楽しいです。

松山選手:No.11

―普段はどのような練習をされていますか?

バイクを使った練習は父の仕事が休みの日しかできないので、普段は家で筋トレをしたり、ロードバイク(自転車)に乗ってサイクリングトレーニングをしています。バイクはバランスがとても大切なので、体幹トレーニングがメイン。チームのアドバイスを取り入れながら、自分に合いそうなトレーニングを調べて毎日取り組んでいます。

―アジアタレントカップを経験して学んだことや心境の変化はありましたか?

海外のレースでは、メカニック(整備士)との会話は全て英語です。海外のレースは初挑戦だったので、コミュニケーションがとても大変でした。メカニックにバイクのセッティングや自分の意見が伝えられず苦労しました。そこで、家の近所の英会話教室に通い始めました。ある程度英語が分かるようになると、周りのライダーとも話せるようになりました。彼らとの会話から学んだことも多かったです。また、レースに勝ち抜けるよう、データ分析を細かく行い、普段の練習メニューを変えたりもしました。このレースへの参戦をきっかけに、本格的にプロになるためにはどうすればいいのかということを日頃からずっと考えるようになりました。技術だけでなく、レーサーとしての気持ちの変化も大きかったと思います。

―今年から活躍の舞台がMoto3世界ジュニア選手権となりました。参戦メンバーに選ばれたときどんな気持ちでしたか。

Moto3世界ジュニア選手権に出るために、ジュニアタレントチームに入っているのですが、そこにはアジアタレントカップで勝ち抜いた一人しか入れないんです。アジアのトップレベルのレーサーの中から選ばれたのでとても嬉しかったです。また、ヨーロッパはアジアと比べレースが盛んでレベルもすごく高い。自分より速いレーサーたちと戦えると思うとワクワクしました。

―実際にレースに参加して、アジアでのレースとどんな違いを感じますか?

レースに出てみて、アジアとヨーロッパのレベルの差をとても感じます。僕はアジアではトップを争っていましたが、今は一桁の順位に入るのが精一杯。もっとトレーニングを積み、自分に足りないものを補っていかないとヨーロッパではとても通用しないなと感じています。また、レースの本場ということもあり、ファンの熱量もアジアとは違いますね。レースが動画サイトアップされると、たくさんの応援コメントが投稿されます。その数や内容を見て、盛り上がり方が違うなと思います。そんな中でレースに出ることができてとても嬉しいです。

―今後の目標を教えてください。

短期的な目標は、今戦っているMoto3世界ジュニア選手権で年間チャンピオンになることです。将来的にはMotoGPに出場しチャンピオンになりたいです。そして日本にバイクブームを起こしたいです!

2019年アジアタレントカップ

自然に癒される―佐倉の魅力

―佐倉の魅力はどんなところですか?

佐倉は自然に囲まれていて心が休まる場所。特に遠征から帰ってくるとすごく落ち着きます。それでいて都会からそこまで離れていないので、生活に便利な所が佐倉の魅力だと思います。僕は海外に行くことが多いので、成田空港が近いのは有難いですね。

―お気に入りの場所はありますか?

印旛沼のサイクリングロードです。バイクのトレーニングの一環で、サイクリングロードをロードバイクで走っています。自然いっぱいの景色が大好きです。多い時は100kmくらい走るのですが、印旛沼の景色に心癒されながらトレーニングできるので、走っていてとても気持ちがいいです。他の人にもお勧めしたい一番のお気に入りスポットです。

お母様に聞きました!

バイクレーサーとして「才能が開花」した松山選手。お母様はどのようにお子さんと向き合ってこられたのでしょうか。

―どのようにお子さんの成長を見守ってきたのですか?

成長する中で、その都度環境が変わったり、つまずいたりすることが多々ありましたが、そのタイミングで叱咤激励をしてきました。私も夫も子どもが小さいときから厳しかったと思います。レースについても厳しく意見を言っていたので、子どもとぶつかることも多かったです。親も含めどうしても楽な方にいってしまうので、甘やかすのではなく、ダメな所はダメとはっきり伝えるという事を意識してきました。それでも子どもを守らないといけないところは守る、そこは忘れずに成長を見守ってきたかなと思います。

―子育ての点で大切にしていることを教えてください。

子どもを産むときに主人と話をしたのが、お互い仕事だけして子育てはあまりしなかったね、で人生を終わりたくないということ。自分たちが死ぬときは、子育ては頑張ったねって言って死にたいねっていうのがあって、週末は絶対に朝から晩まで子ども達と一緒でずっと付きっ切り。子ども中心に生活するようにしています。

―松山選手がバイクレーサーとして活躍するまで成長した要因は何だと思いますか?

負けず嫌いの性格なので、負けたくないという気持ちからここまで続けているんだと思います。でも生まれた時から負けず嫌いだったわけではなく、レースをしていく中で負けたくないという気持ちがどんどん育っていったと思います。小学校低学年の時は、負けてもしょうがないかなという様子が見られましたが、徐々に負けたら悔しいという感情が強くなってきたようです。やはり同年代の友達に負けるのは悔しいんだと思います。また、本人が自主的に続けてきたことも要因の一つだと思います。これまで私たちが強制して続けさせたわけではないですし、やめたいと言ったことは一度もなかったですね。元旦以外は毎週末練習。それでも行きたくないという事はなかったです。生活の一部になっているんだと思います。

―佐倉で子育てしてよかったと思う点はありますか?

自然環境がすごく良くて、下の兄弟たちはよく公園で虫を捕まえたりして遊んでいるのですが、その姿が本当にイキイキしているんです。そういう子供たちの姿をみると、佐倉に住んで良かったなと思います。七井戸公園はよく行っていて、子どもたちはいつも真っ黒になって遊んでいます。そういう環境があるのはとてもいいことだと思います。

■松山拓磨選手プロフィール

2004年11月9日生まれ、佐倉市立臼井南中学校出身。

【主なレース歴と戦績】(参考)https://young-machine.com/2020/02/04/70137/

2008年  3歳でポケットバイクに乗る
2014年  千葉北ポケバイエキスパートチャンピオン
2015年  モトチャンプ杯西日本74 クラスチャンピオン/千葉北ポケバイエキスパートチャンピオン
2016年      HRC NSF100 トロフィーグランドチャンピオンシップ大会優勝/もてぎロードレース選手権ST150 クラス優勝
2017年      筑波ロードレース選手権J-GP3 クラス出場 第3 戦優勝/筑波グランドチャンピオン大会出場
2018年      アジアタレントカップ 総合ランキング7 位/茂木ラウンド優勝
2019年      アジアタレントカップ 総合ランキング2 位
2020年      Moto3世界ジュニア選手権に参戦中

■松山選手の活躍の様子はこちら!

【2019ダイジェスト映像】

ベストアクション~イデミツ・アジア・タレント・カップ(MotoGP公式サイトより)

※No.11が松山拓磨選手